丸亀製麺こそ最強のバイトである
スターバックスのバイト経験があるとどうやら就活で有利らしいという話を聞いた。
なんでも、スタバはすごく教育のしっかりした企業で、アルバイトの末端に至るまで理念が浸透しているだとか。
そんな教育済みの人材、誰だって採りたいよね。ということらしい。
一理ある。
しかしだ。ここであえて反論をしたい。就活に有利な最強のバイトはスタバではない。丸亀製麺であると。
なぜ丸亀製麺なのか?
これは僕の経験にもとづく話である。バイトではなく、客としての経験。丸亀製麺にアホほど通いつめた僕にだからこそできる話である。
理由1
まず丸亀製麺最大の特徴は、バイトが店長ヅラしていることである。
丸亀製麺はアルバイトの平均年齢が極めて高く、退職後の人材を中心に採用していると聞く。おっちゃんおばちゃんが働いてるとアットホームな雰囲気になるし、やりがいを持って働いてくれるし、勤続年数も長くなりやすいんだそうだ。
そのためか、丸亀製麺には、この道20年の風格をまとった店員がしばしみかけられる。しかしながら、これは大体ただのバイトなのである。
でっぷりと腹を膨らませ、どっしりとした構えから慣れた手つきで湯切りをしながら注文を聞く。そんな丸亀製麺渋谷店の老齢のおっちゃんもただのバイト。
いつ行ってもかならず店にいる明らかにこの店の女将以外ありえない存在感のあのおばちゃんもただのバイト。
ホールで食器回収をひたすら回してる孫3人はいるであろう還暦おばあちゃん店員もバイト。
彼らから無言のうちに伝わってくる共通のメッセージがある。それは「ここはワシの店や」である。
バイト一人一人が店長ヅラをしている、これは言い換えると全員がオーナーシップを持っているということなのだ。
この一点において、丸亀製麺は明らかにスターバックスを凌駕している。
理由2
丸亀製麺が最強のバイトである次の理由としては、まだこの事実に誰も気づいていないということである。
君が学生であるとして、運良く書類審査をくぐり抜けたとしよう。面接官は君に問う。
「学生時代に取り組んだことはなんですか?」
自信を持って答えるのだ。
「はい。丸亀製麺です。」
「なに?丸亀製麺?」
「そうです。丸亀製麺です。スターバックスでバイト経験のある学生を採用したい企業が多いというお話をご存知でしょうか?実はその点において、丸亀製麺はスターバックス以上の企業なのです。」
ここまで話した時点で君の採用はほぼ確定している。君がこの後話すことは、面接官は誰も知らないし、そして聞きたくてたまらない類の話だ。それをあたかも自分で考え、深遠なる考えをもってあえて丸亀製麺でバイトすることを選んだようにアピールすることができる。実際その通りなのだが。
誰も知らないが故に、君は圧倒的な個性を手に入れることになる。
年配の先輩バイトとうまくやっていた系の人事ウケのいい小噺を挟みつつ、さらに次のように付け加えると良いだろう。
「はじめから予測していたことですが、やはり丸亀製麺の教育プログラムは驚嘆すべきものでした。」
「そして、私はそのノウハウ全て吸収しました。この経験はかならず御社で役に立ちます。」
このエントリの読者である君がどれだけ想像力に乏しい人物であったとしても、一次面接突破がイメージできたことと思う。そう。企業が求める人材とはまさにこのような掘り出し物である。
そして一次面接の担当者は、二次面接の担当者にこう話すことになる。
「久々にヤバい奴が来たぞ。ぜひ彼に会ってみて欲しい。」
「なに、君がそんなに言うなんて珍しいじゃないか。いったいどんな奴なんだ。」
「は?なんだって?」
この時点で2次面接ももらったようなものであり、帰納法的に最終面接も突破することになる。ついたあだ名は丸亀くん。永きに渡って人事部に語り継がれる伝説となるだろう。
茹でよ学生
さあもう分かっただろう。君はそのオシャレなお店でコーヒーやフラペチーノを煎れている場合ではないのだ。
株や先物を扱うトレーダーの間には次のような言葉がある。それは「買うべしは買わざるべし」という言葉だ。みなが「買うべし」というようなものはすでにみながその価値を知っている。下落寸前、つまり手遅れであり、買うべきではないという意味の言葉だ。
この言葉を知ってなお、君はスターバックスでアルバイトすることができるだろうか。それは本当に正しい選択といえるのだろうか?みなが「買うべし」と言っているものではないのか?
聡明な君ならもうわかるはずだ。さあ。茹でよ。学生。(おわり)
本エントリはジョークです。スターバックスやそこで働く人々を貶める意図は小指の先ほどもありません。ただし、登場する丸亀製麺店員は実在の人物をモデルにしています。